「伊藤くん A to E」、女性の恋と自分探しを等身大で描いた、ちょっとえぐってくる感じのラブストーリーかな?と思って敬遠していたのですが、映画の試写会での田中圭さんと中村倫也さんの横たわった姿があまりにかっこよかったので観てしまいました
面白かった!
観てよかったです!
デビュー作が大ヒットして以来、パッとしない女性脚本家、矢崎莉桜が、創作のネタに恋愛相談のアンケートを募ります
気になった回答は4つ、悩みのタネはどれも「伊藤」という男
4人の女性の恋愛相談に乗りつつ、脚本を書いていく莉桜、やがて4人の伊藤は同一人物だとわかり…
AからDの女性の悩みと、莉桜自身の抱える問題、そして伊藤くんとは一体?
というお話です
どの女性の悩みも誰しも思い当たる共感できるものである一方、ドキュメンタリーのような映像の生々しさには毒が感じられ、女性たちがそれぞれに答えを見つけた後も微かな苦さが残るように感じました
ドラマには女性はA〜Dしか登場しませんが、タイトルはA to E
Eの登場する映画が完結編となっているようです
ドラマでは一人につき2話が当てられていて、はっきり見えていたA〜Dの彼女たちの姿が、Eがメインの映画ではダイジェストになるのは仕方がないかなぁとも思うのですが、田村(田中圭)の描き方が変わっていたところと、台詞が変わっていたところは、ドラマの方がよかったと感じました
ドラマの田村は「嫌なやつ」として登場するのですが、それでも何かを感じさせる人でした
映画では最初から「莉桜が思っているような人間ではない」ということがわかるようにしてあって、それが残念でした
ドラマで切れ切れに挟まれた「田村、嫌なやつシーン」も映画では出てこなかったし
田中圭さんは「わかるように」しなくても「わかるように」してくれる方なので、勿体なかったなぁと思いました
後、Aのエピソードに出てくる伊藤くんの台詞「君は高級だから」が、映画では「僕の価値」に変わっていました
「僕の価値」と「君は」は表裏の言葉で、映画では、Eと伊藤くんがメインなので、伊藤くん視点の台詞になっているのかなぁとは思います
けれど、Aが「費やした時間にこだわって」まで欲しかったのは彼女としての証拠ではなくて、自分の価値を認められることだったと思うので、ドラマの台詞の方が彼女にはストレートに届いたと思うのです
ドラマの「君は高級だから」からカフェに一人残る伊藤くんの姿までの一連のシーンが、とても痛々しく、とても良くて、心に残ってしまい、余計そう思うのかもしれません
田中圭さんは、田村とドラマのAパートの伊藤くんを演じています
田村のスーツ姿と綺麗めカジュアル、伊藤くんのいじけた自意識のにじむコート姿、どちらもよかったです
「火花」を数日観て、居酒屋に行きたくて仕方がなくなっていた気持ちに、ラーメン屋に行きたい気持ちが追加されて苦しいです
あ!監督が「火花」の廣木隆一さんなので、この監督さんの作品で田中圭、林遣都の共演があったらいいなぁ!なんてことも思いました