おっさんずラブ シナリオブック、特典映像を踏まえ観直す第4話 その3
そして動き出す第三の男
牧君にはキレまくっているのに、春田には異常に優しい、第三の男は天邪鬼
それにしても、半角と全角が入り混じる数字とか、マロとやり合っていたためのうっかりミスとはいえ木造と鉄筋を間違えるとか、「おいおい、何年このソフト使ってるんだよ」、まさしく、まさしく、仰るとおりです
重ねていうなら、ここは「(ソフト云々じゃなく、お前)何年この仕事してんだよ」ですが、第1話の「お前、何年目だよ」を優しくしたのが「おいおい、何年このソフト使ってるんだよ」なのでしょうか
いかにも武川さんが言いそうなダメ出しを、フォローのような言い回しにした台詞で、第1話とうって変わった優しさと、溜めが感じられる、なんて効果的な台詞なのでしょう
春田がわんだほうで交わすちずちゃんや鉄平兄との会話や、牧君の「破壊神のことですか」など、あちこちにみられる脚本にはない台詞は、人物の関係性、繋がり、人物の感情や場の雰囲気の中で生まれているんだなぁということが、よくわかります
牧君の「破壊神」は、コミカルでもあり、かつ、この時の焦燥感がこのあと絶望、諦念に移っていくことを思うと、イジワルの底の悲しさが感じられました
シナリオでは自分で怪我の処置をする春田を見守っていただけだった牧君がドラマでは春田の手当てをしていることとか、牧君の感情の振れが自然と口を衝いて出、身体を動かすのだなぁと思いました
また、カフェの春田と蝶子の「元の素敵な夫婦に戻って欲しい」のシーンにかぶせてあったマイマイの「無理じゃない?」の台詞は、なくなったことがとてもよかったです
マイマイのゴシップ好きは、決して悪意のあるものではなく、可愛いくて軽やかです
「無理じゃない?」は悪意の駄目押しになってしまい、マイマイのキャラクター、マイマイへの共感を損なったかもしれません
牧君と武川さんの廊下のシーンの、牧君の「ですね」に対する武川さんの表情とか、春田に振られて帰って「ただいま」という自分に「おかえり」と答えてくれた蝶子さんに対する部長の表情とか、この二人には一見しただけではわからない感情表現があります
傍若無人な乙女無双だったり、キレまくるDV元カレのような言動だったり、わかりやすい姿を見せながら、その奥には他人には見えない感情の蓄積があるのだろうなぁと思います
春田や牧君の走り出そうとして躊躇い惑う恋とは次元の違うものがあるような、何か気持ちを動かされるものを感じました
シナリオに(切ない)とか、(驚き)と書かれたものを、言葉でくくる前の感情や動きの状態にするということを観る面白さは、なんだかちょっと因数分解と展開に似ている気がしました
しみじみ面白いなぁ…と思っています
つづく
あまり重複はないけれど、以前に書いた第4話の感想の前半です ↓