昭和24年夏の終わり
金田一耕助(田中圭)、北海道をさすらうも失恋の痛手癒えず、割烹旅館松月の四畳半で鬱々とした毎日
松月の女将節子に発破をかけられても、「僕はもう探偵は辞めたのです。残りの人生はユーカラに捧げるのです」などと言っては、木彫りの熊を抱きしめて、部屋の隅に転がっています
そこへ届けられた一通の書状、節子にお尻を叩かれるようにして信州に向かう金田一
移り変わる車窓の景色と、一駅ごとに深まる秋の空気に少しずつ気持ちが和らぐのでした
みたいな感じで始まります
湖畔のホテルから湖に沈むボートを見つけた時は迷いなく湖に飛び込みますが、ボートまで泳ぎつくのが精一杯で、ヘリに捕まったままボートに乗っていた野々宮珠世と二人、湖の藻屑となりかけます
助力を乞うてきた若林が殺害されたことで、犬神家の顧問弁護士古舘より改めて依頼を受け、犬神家の遺産相続に関わることになりますが、最初は軽んじられる金田一
特に湖での失態を知っている猿蔵からは、北海道放浪と引きこもりのせいで色も白かったこともあり侮られますが、徐々に信頼と敬愛を得るようになります
とにかく、死体が発見されるたびに息を切らせて駆けつけて、探偵のくせに誰よりもショックを受けて、親族でもないのに悲しんで、自分の力が及ばなかったことを悔やみます
その度に食欲不振になりますが、那須ホテルの女中さんなどにご機嫌を取られたり、珠世に優しい言葉をかけられたりして、気を取り直します
人一倍繊細で、正義感が強く、でも自分の無力も良く知っている人間が、どうやって人の生き死にと、人の罪に向き合っていくのか…という金田一耕助です
犬神佐清(林遣都)は、無理やりにでも金田一耕助とニアミスさせたいです
佐清が町外れに投宿する道すがら、金田一が車ですれ違っていたりとか
お話では、野々宮珠世のたった一言が全ての悲劇を防いだはずなのですが、佐清〜珠世すれ違いラインの他に、佐清〜金田一のすれ違いラインも確保したい、無理やりでいいので、無理やりで
佐兵衛(吉田鋼太郎)と金田一耕助(田中圭)は、直接の演技のやりとりはありませんが、思う存分演技のできる役柄なので、お二人にはぴったりだと思うんですよねぇ
犬神家の登場人物はみんなアクが強いですから、受けまくりの田中圭無双が観られること間違いなしです
事件の真相を暴くシーンでは、自分の感情をはっきり出して、犯人を説諭した金田一耕助ですが、一夜明けると、いつもの自分に戻ってしまっています
事件解決への賞賛も自分のことではないようで、なんだか居たたまれず、見送りをしようと集まる人々の目を盗んで一人駅へ向かいます
また、ひたひたと憂鬱が心に忍び込んでくるのを感じながら荷物を網棚に乗せていると、走り出した汽車に向かって自分の名を呼ぶ声に気がつきます
窓から顔を覗かせると、見送りの人々の姿が遠ざかるのが見えました
信州の空気を持って帰ろうとするかのように、大きく息を吸う金田一
憂鬱を少し押し戻して、座席に身を埋め、東京の冬に思いを馳せるのでした
そもそもの思いつき ↓
そして、キャスト妄想 ↓