「PARCO劇場開場50周年記念シリーズ 新ハムレット ~太宰治、シェイクスピアを乗っとる!?~」ネタバレ感想

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PARCO劇場開場50周年記念シリーズ 新ハムレット太宰治シェイクスピアを乗っとる!?~」を観てきました

シンプルな舞台セットに、ポップな衣装、心地よい長台詞、サスペンスフルな展開、とても面白かったです

心に残ったことをいくつか

 

開幕して、まず気になったのは「国旗」です

作品を覆う戦争の影と欺瞞に現在の日本(タモリさんの言う「新しい戦前」)が重なって見えました

観劇後、太宰が「新ハムレット」を書き上げたのが、昭和16年の初夏、日中戦争から太平洋戦争へ戦火の拡大する頃だったとパンフレットで知りました

舞台化するための新たな解釈だったのではなく、そもそもこうした問題を内包する作品を原作に持ってこられたのだと、数多ある作品群の中から「新ハムレット」を掴み出してきた、脚本・演出の五戸真理枝さんの先人への敬意と真摯な探究心に、改めて感銘を受けました

 

次に「衣装」です

クローヂヤスとガーツルードは灰色に差し色の赤、灰色は凍てつく風土、赤は血統でしょう

ポローニヤスたちは灰色に差し色の緑、灰色は同じく風土で、緑は民草の緑だと思いました

王家の血統が縦一筋であるのに対し、民草の緑は大地を覆う広がりを持っています

ポローニヤス一家の会話からは、一家のフラットな関係が見えました

そして、ハムレット

ハムレットは桃色の上下を身に纏い、時に黒の羽織に身を包みます

この桃色はなんだろうと考えた時、赤ちゃんの色だろうかと思い当たりました

純粋無垢であれば、白でしょう

けれど、赤ちゃんは純粋無垢ではありません

自分の欲求に正直で、生きることに貪欲、それが赤ちゃんです

赤ちゃんは他の色と混じって自分を欺くことができないので、隠れたい時は黒に逃れるしかありません

ラスト、父の死の真相、叔父の裏切り、母の死を知ったハムレットは、それらを忘れないと叫びます

もし、この後のハムレットの姿を見るならば、ハムレットの衣装は桃色ではないでしょう

何色になるのかは、わかりません

 

とりいそぎ、「国旗」と「衣装」という視覚的な表現に感じたこと、考えたことを書きました

パンフレットもまだ読み終えていないし、明日以降もじわじわ考えて、書いていこうと思います

 

それから、ハムレットの普段着とクローヂヤスの戦闘服の背中の刺繍は、心臓でしょうか、そこから血が流れているように見えました

何かの象徴なのでしょう

わからないので、知りたいです