『おっさんずラブ-リターンズ-』第7話を観て 春田と牧くんの会話
牧くんは家に人を入れるのが嫌だと最初に春田に伝えています
けれど、なし崩し的にどんどん人が訪ねてくる家になっています
どの場合も事情があるので牧くんは受け入れています
けれど、子供の話が出てきて、絶妙に会話がすれ違っているので気になりました
退院が決まったちずちゃんを囲んで、春田が今後もサポートしたいという場面
牧くんは「子供二人の面倒みろってことですかぁ?」と言っています
これは、春田を腐しているようで実は惚気ですが、本当に言いたいことは「嫌だ」です
二人で帰る道すがら、家族の形という話をしている場面
牧くんは「動物を飼いたいってなるかもしれないですし」と言っています
本当に好きな動物がいれば、ここは具体的に犬とか猫とかいうはずです
これは牧くんの譲歩で、本当に言いたいことは「人間は嫌だ」です
けれど、春田は「養子迎えたいってなるかもしんないしね」と答えています
こういう会話は、「嫌だって言った」「聞いてない。それじゃわからない」になりがちなものです
ただ、春田と牧くんには「二人が一緒にいること」が一番大切なこととしてあって、そこからどんな家族になるのか、それは二人で選んで、二人で作っていくものという同意があります
変わらないものと変わっていくもの、変わっていくことを受け入れるものがはっきり共有されているのです
春田は考えなしに世間一般が良いとするものを、そのまま自分の「良い」にしがちです
でも、変化には柔軟
もう少し、牧くんの「NO」に敏感になってくれたらいいのになぁと思いますが、牧くんも相手に伝わる「NO」の言い方を会得してほしいです
それが言える関係性は既に獲得しているのですから
で、観ていて一番感じたことは
このすれ違いは男女だと致命的なんだけどなぁ
です
春田と牧くんは既に互いの両親に同性婚を認めてもらっているので、子供を持たないであろうことは両家了承済みです
むしろ養子を迎えるとなった時の方が手続きが大変かもしれません
けれど、男女の結婚だと子供を持つことが当然と思われていることが多いので、どういう家族の形を選ぶかにかける時間はあまりないのです
外野も参戦してくるのですし
「言った」「言わない」と不毛に揉める時間はない、「そのうちわかってくれる」「そのうち考えが変わる」の「そのうち」はなかったりします
同性婚の物語が女性に支持をされる理由は、法律・社会制度上は不自由な同性婚が、家制度からは自由であるからかもしれません